失われた時を求めて - 2014.01.15 Wed
失われた時を求めて (まんがで読破) (2009/05/30) プルースト、バラエティアートワークス 他 商品詳細を見る |
19世紀のフランス文学のレポート課題:古典主義とロマン主義の比較に挑戦すべく、準備を初めて早一ヶ月。資料は集めたものの、まだだいじな本も読み切れていません。
いったい年末年始、空いている時間に何をしていたのか。。
実はマンガ読んでいました。
まずはまったのが、マンガ世界の文学シリーズの「赤と黒」。言わずと知れたスタンダールの名作を里中満智子さんが漫画化したものです。ナポレオンを崇拝する女性のように繊細な容貌の若きジュリアン・ソレルが、王政復古の時代に反発を覚えながら、自分の才気を武器に貴族の女性を踏み台にして社会的上昇を計るお話。
「赤と黒」の日本語訳は文庫本2冊に分かれていて、例えば光文社文庫の野崎歓氏訳だと合計1000ページ余り。これを里中満智子さんは、恋愛心理小説としてのエッセンスを実に上手に約260ページのマンガにしているのだから、すごい。
斉藤孝先生の「地アタマを鍛える知的勉強法」に「文章の図化」勉強法というのが紹介されています。テキストの内容を一度図化すると理解が早いというもの。期せずしてまさにそれに当ると思ったのがマンガで読む世界の名作でした。
そして、さらに読み応えがあったのが、まんがで読破シリーズの「失われた時を求めて」。七編からなるプルーストのあの大作は、鈴木道彦先生の名訳で完結まで13冊!ちなみに私が読んだのは1冊目だけ。この超大作をわずか370ページ余りのマンガに再現したまんがで読破の企画者は素晴らしい。
特にプルーストの時間に対する解釈が凝縮されているラストの部分には胸打たれました。
フランス近代文学では避けて通れないプルースト。でも、原作は長過ぎるし複雑で助長。原文にいたっては更にしんどいという方に、まずは入門編としてお薦めです。
ただし、個人的に絵柄はこのシリーズの「赤と黒」の方に軍配を。「失われた時を求めて」は、当然時の経過が大切な作品なのに、登場人物の年齢やその変化が今ひとつつかみにくい絵が結構あるので。とはいえ、視覚にうったえるというのは、内容を理解するのに効果的だということが心から納得できるマンガです。
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● COMMENT ●
歓迎です!
まめじろうさん、こんばんは。このマンガ読んだこと、忘れていました(^^;)。お気遣いをどうもありがとうございます。全然OKです。わが鄙ブログのことに触れて下さってありがとうございます。
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